転職を考えているけど、一歩踏み出せない・・
仕事を変えたいけど、次にどんな仕事をしたいか分からない・・
キャリアを変えたいけど、どうしたらいいか分からず悩んでいますか?
残念ながら、キャリアは人それぞれなので「具体的にこれをするべき!」という方法はありません。しかし、キャリアを変化させた人に共通する戦略は存在します。
本記事では、書籍「ハーバート流 キャリア・チェンジ術」を元に、新しいキャリアを手に入れるための3つのステップについて解説いたします。
「ハーバート流 キャリア・チェンジ術」の著者ハーミニア・イバーラさんはハーバード・ビジネス・スクールの教授です。
この本では、39人のキャリアを転換をした例を分析し、キャリア・チェンジを成功のための戦略が書かれています。
2003年に発行され、多くの転職に関する本で引用されている名著です。
【実践編】キャリア・チェンジのための3つのステップ
1. 新しい様々なことを試す
2. 新しい人間関係を作る
3. 過去を振り返り、意味を見出す
キャリア・チェンジのための3つのステップを1つずつ説明していきます。
1. 新しい様々なことを試す
まず始めのステップでは、自分がやってみたいことを幅広く試していきます。
試す前に「自分にはどんな仕事が合っているのだろうか・・?」と深く考える必要はありません。試すことで自分に合っているかどうかが分かります。
自分がやってみたいことが思いつかない・・という方は、この方法で実践してみましょう。
(1) 将来の自己像をできるだけリストアップする
将来の自己像は、「なりたい自分・目指すべき自分・なりなくない自分」など、現実的なものから非現実的なものまで全て書き出します。
例として、私の将来の自己像をリストアップしてみます。
・自分の専門性を磨いていきたいと思っている。技術的な仕事に興味があるから、今働いている会社で、技術営業の部署に移動する。
・広告業界では約4年間働いていて、そろそろ新しい業界に挑戦したいと思っている。別の業界で、今と同じ役職に応募してみる。
・今の仕事でレポートを作成したり、データを分析する業務は楽しい。データアナリストという仕事があることを知った。Pythonを勉強しているので、未経験でもデータアナリストの仕事ができないか探してみる。
・コーヒーが好きで色んなカフェに行っている、自分でコーヒーをドリップするのも好き。バリスタとしておしゃれなカフェで働く。
・健康的な食に興味があって、市場に新鮮な野菜を買いに行くのが楽しい。自然の豊かな田舎に移り住んで、自分の庭で野菜を育てて暮らす。
・色々将来のことは考えたけど、今の仕事ではやりがいはあまり感じられないが、働く環境や待遇は良いので、今の仕事を続ける。
将来考えられる可能性を自由に書き出してみてください。
(2) リストの中から一番興味のあるもの、試しやすいものから試す
選択肢がたくさんあると迷ってしまいますが、すぐに動いて少なくとも1つの選択肢を実行に移しましょう。
リストの中から興味があって、試しやすいものを選ぶのが良いです。
試し方は、このような方法があります。
・ボランティアをする
・オンラインコースを受講する
・面接を受ける
・その仕事をしている人の話を聞く
・学校に通う
・副業で試す
・本を読んでみる
・イベントに参加する
・知人にその仕事の求人がないか聞いてみる
小さなことでも勢いがついて、次の行動を取りやすくなるので、すぐに取りかかりましょう。
(3) 評価する
試したあとは、その選択肢が自分に合っているのか、将来続けていけるかを評価します。
評価するときの2つのポイント
ポイント1. 直観を深く掘り下げて認識し、情報として活用できるようにすること
直観だけを頼りに判断すると、後悔する選択をしてしまう可能性があります。
直観を直観のまま終わらせず、なぜそのように感じたのか深く掘り下げて、人に説明できるくらい具体的にしましょう。
私の2回目の転職の経験を例にあげます。
今働いている会社の選考を受けているとき、今の仕事を選ぶか、シンガポールの会社で働くか迷っていました。
シンガポールの会社から面接の案内が来たときは、前からシンガポールで働いてみたいと思っていたので、すごくワクワクしました。これは夢にまでみた仕事だ!と思いました。
でも面接の選考を進めていくと、面接官はやつれていて元気がなさそうでした。面接では、私にどんなスキルがあるかできるかだけを聞かれて、私の将来のキャリアはどうでもいいという感じでした。
それでもシンガポールで働くことは夢だったので、選考を進めました。
最終的には、今の日本で働く仕事を選びました。
シンガポールの仕事を選んだら、どうなったかは実際には分かりませんが、今の選択をして良かったと思います。
今の仕事で、私が面接をしたシンガポールの企業とやり取りする機会がありました。その企業は、仕事量が多く、まとまりのない組織で、働く環境はかなりきつそうでした。
「面白そう!ワクワクする!これは夢にまで見た仕事だ!」と直観で感じたとしても、冷静に情報を集めてから判断したほうがいいです。
特に、今まで自分が経験したことがない仕事や、その仕事している人を見たことがないときは、注意が必要だと思います。
ポイント2. まだ先の見えない段階にいても、さまざまな選択肢をためしていくこと
先が見えない状態が続くと不安になり、妥協してでもいいから早く次の仕事を決めたいと思ってしまいます。
しかし、うまくいく根拠が得られるまでは、どんな選択肢でも深入りせずに詳細に検討を続けていきましょう。
特に今の仕事が嫌で一刻も早く辞めたいと焦っているときには、選択肢を十分に検討しないで判断してしまうことが多いです。
私は最初の転職では、焦っていて自分に合わない仕事を選んでしまい、その転職先は半年で辞めることになりました。
一度転職に失敗したことで、決断する前にその転職先で自分が上手くやっていけるか十分に検討することが大事だと身に染みて分かったので、この転職は後悔していません。ただ、転職先が合わなかった場合、また新しい仕事を探すことになるので面倒です。
実際に働いてみないとその仕事が合うかどうかは分からないですが、事前に調べておけることもたくさんあります。
例えば、
会社員として転職する場合は、「1日の働く時間・残業手当が出るか・仕事の内容・仕事で最も関わる人は誰か・どの仕事ではどんなスキルが求められているか・会食が多いか・出張があるか・転勤があるか」など、事前に聞くことができます。
面接では聞きにくい質問もあるので、採用の連絡をもらったあとで、一緒に働くチームの人と面談をする機会をもらうと良いと思います。転職先の人事は「明日までに決断してください!」などプレッシャーをかけてくることもありますが(それが人事の仕事なので仕方ないのですが)、面談をしてからオファーを受け入れるか決断させてほしいと相談してみると、意外と受け入れてくれます。
未経験の職種の場合は、副業でその仕事をやってみたり、期間を決めて学校に通うなど、試してみましょう。
2. 新しい人間関係を作る
私たちは自分が思っている以上に周りの人からの影響を受けています。
キャリア・チェンジには、人間関係を変えることが必要不可欠です。
新しい人間関係を作れと言われても、どういう人を付き合えばいいの?疑問に思うかもしれません。
キャリア・チェンジの支えになる人は、「出会ったばかりの人やそれほど親しくない知り合い」です。
1970年代にハーバード大学の社会学者マーク・グラノヴェターさんが、「ほとんどの人が個人的な人間関係を通じて仕事を見つける。その人間関係は友人や家族や親しい同僚ではなく、それほど親しくない知人だ。」という発見をしています。
出会ったばかりの人やそれほど親しくない知り合いが、新しい仕事を見つけるために役立つのはこのような理由です。
・相手に自分とは別の知人がいて、その知人を通じ別の情報に出会える見込みがある。
・それによって、きっかけをつかめたり、仕事の紹介や情報を得られたり、新しい組織や決定権をもつ人に出会えたりする。
さらにメンタル面でも、人間関係を変えることによって、新しい自分への確信が持てるというメリットがあります。
特に、自分と同じような境遇から自分の目指している方向へ変化した人は、影響力が大きいです。人の成功を目の前にすることで、自分にもできるという自信に繋がります。
人間関係を変えるのは強力な方法ですが、難しいです。
ハーバード流キャリアチェンジ術の本には、具体的に人間関係を作る方法は書いてなかったので、自己流ですが新しい知り合いを作るアイディアをまとめてみました。
まず自分がどういう人と知り合いたいかを考えます。そして、自分が知り合いたい人がいそうな場所に行ってみます。
実際に良い出会いがあった例を紹介します。
・転職イベントに参加する(ITのスタートアップの社長と知り合えた。データエンジニアの人と話ができた)
・面接を受ける(自分が働いてみたいと思っている業界の人と話すことができた)
・ゲストハウスに泊まる(同世代で別の業界で働いている人に出会えた)
・体験スクールに参加する(サーフィンのスクールで、サーフィンが好きな人と知り合えた)
・店員さんがフレンドリーな店に通う(古着屋さんのオーナーとインスタを交換した)
・マッチングアプリで友達を作る(フリーランスの友達が2人できた)
知り合いを地道に増やしていくことで、いつか良い情報をもらえる可能性があると思います。また、身近な人以外と話すことで、自分のキャリア対する考え方を別の視点から見ることができます。
3. 過去を振り返り意味を見出す
キャリアに色々と試行錯誤したのちに、キャリア・チェンジ最後のステップとして、この2つの過程が必要になります。
(1) ひらめきの瞬間を自分で生み出す。
(2) ひらめきを自分の物語のなかで活かす。
(1) ひらめきの瞬間を自分で生み出す
意外なできごとがきっかけで、突破口を見つけられることがあります。
本の中に出てくるジョンさんの例を紹介します。
ジョンさんは、投資銀行の仕事をしていましたが、その仕事にやりがいを見いだせなくなっていました。
趣味で小説を書いたことがあり、前職の外務省での仕事でも書く力を磨いてきたので、作家になることを1つの選択肢として考え始めていました。
苦しい心境を家族や友達に相談し始めてから3、4年経ったころ、友達に勧められてふらっと占いに行ってみました。
そこで占い師から、自分を表現する芸術分野へ目を向けながらも、社会的経済的な地位を維持できるのは無理がある。2つの世界で生きていくことはできない。というようなことを言われます。
社会的地位のある投資銀行で働く自己像を手放さないかぎり、前には進めないと指摘されたことによって、これまでのすべての経験を新しい視点で理解できるようになりました。
このジョンさんの例のように、日常的でない出来事は状況をはっきりさせることがあります。
そして、このひらめきの瞬間は、環境を変えたときに訪れることが多いです。
くつろいでいるとき、問題をしばらく棚上げしたとき、いつもと違うことをしているとき、占い師にあったことなどがきっかけになります。
普段あまり行かない場所に行ってみるとか、話さない人と話してみるとか、自然に触れてみたりすることで、ひらめきの瞬間を自ら生み出すことができます。
(2) ひらめきを自分の物語のなかで活かす
ひらめきの瞬間が訪れたら、自分が納得のいく物語を組み立てる作業に入ります。
物語は、始まり→どん底→最高の結末で構成されています。
例えば、
(始まり) 新しいプロジェクトに任命された。はじめのうちは今まで働いたことのない人と働くので不安と期待があった。
(どん底) プロジェクトが進んでいくと、チームリーダーと自分のやり方が合わず、自分のやり方を提案しても採用されることはなく、やる気がなくなった。
今のプロジェクトを抜けて、他のプロジェクトに参加することも考えたが、他にやりたいことも見つからなかった。
(最高の結末) このプロジェクトのおかげで、今の会社で自分にやりたいことがないことに気づくことができた。転職活動をしていくと、自分の延ばしていきたいスキルを必要としてくれる会社と出会えた。
難しいところは、結末が把握できなければ、納得できる物語を組み立てることができないということです。
物語を組み立てる前に、色々と試行錯誤して悩み、ひらめきの瞬間を生み出す必要があります。
曖昧で難しい作業ですが、この作業には下記のメリットがあります。
・物語を認識したことで意欲と目標が生まれる
・無意味に見える行動を人に理解してもらうためにも役立つ
まとめ
本記事では、書籍「ハーバート流 キャリア・チェンジ術」を元に、新しいキャリアを手に入れるための3つのステップを紹介いたしました。
1. 新しい様々なことを試す
2. 新しい人間関係を作る
3. 過去を振り返り、意味を見出す
キャリア・チェンジは時間のかかる難しい作業ですが、まずは新しいことを試すところから始めてみてはいかがでしょうか。
前回の記事では、キャリア・チェンジが難しい5つの理由をまとめました。
キャリアを変えることは簡単なことではないので、悩んで当たり前だと思います。是非こちらの記事も合わせてご覧ください。
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