「今の仕事をずっと続けていくのは嫌だけど、他にやりたいこともない・・」
「自分に合う仕事って何だろう・・」
このような仕事での悩みを抱えていますか?
本記事では、著書『働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。』戸田智弘から、キャリア形成に役立つ”人生の先輩たち”のアドバイスをいくつかピックアップして、感想をまとめました。
この本を買ったのは、社会人2年目の時でした。
日々残業に追われて、最初は楽しかった仕事もだんだんと辛いと感じるようになりました。「なんでこんなにたくさん働かないといけないのか」と疑問に思っていました。
そんなときに、たまたま本屋さんで見つけました。
この本を読むと、もやもやしていた気持ちがスッキリして、またチャレンジしてみようかなと元気が出ます。私が転職するきっかけにもなりました。
「仕事の悩みはひとりで考えないで、人生の先輩たちのアドバイスを参考にしてみよう」というテーマで、仕事に関する99の名言が紹介されています。
的確に「これをやりなさい!」というアドバイスは書いてないですが、「こういう風に考えたら良いんじゃない?」というキャリアの方向性を示してくれます。
2年前に買いましたが、今でも仕事で悩みがあるときにこの本を読みます。超良書です。
この本の中からキャリアを考える際に、特に役に立った名言を7つと感想をまとめました。
「働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。」7つの名言と感想
1. こんな時に仕事は退屈になる – ドナルド・E・スーパー(心理学者)
2. 自分に合った仕事を探すときの落とし穴 – 三浦展(評論家)
3. 自分に合う仕事を見つけることは簡単ではない – P・F・ドラッカー(経営・経済学者)
4. 消去法で考える – 色川武大(作家)
5. 自分に近いところから探す – ジェームズ・オッペンハイム(詩人)
6. 行動する&新しい人間関係をつくる – ハーミニア・イバーラ(心理学者)
7. 結局何のために働くのか? – 石川達三(作家)
1. こんな時に仕事は退屈になる
仕事とは自分の能力や興味、価値観を表現するものである。そうでなければ、仕事は退屈で無意味なものになってしまう。
ドナルド・E・スーパー(アメリカの心理学者)
新卒でデジタル広告のコンサル会社に就職しました。英語を使う仕事をやられてもらえたし、内容は自分興味のあるものでした。しかし、仕事は忙しく、職場はせかせかとしていて、いつも締め切りのプレッシャーを感じていました。
かなりマイペース性格なので、急がされると焦ってしまったり、不安を感じて仕事に集中できません。「自分のペースで仕事をしたい、自分の好きなようにやりたい」という価値観に合わなかったのでストレスを感じていたんだなと、この文を読んで納得しました。
2. 自分に合った仕事を探すときの落とし穴
そもそも働いてみないと好きなことは見つからないのではないだろうか。働いてみると、嫌いだと思っていた仕事が好きになったり、好きだと思っていた仕事がそうでもなくなったりするのではないだろうか。働かずに好きな仕事を見つけようというのは、まさに畳の上の水泳である。まずは水の中に飛び込まないと何も始まらないのである。
三浦展『仕事をしなければ、自分は見つからない』(晶文社)
新卒の時に入社した会社は、デジタル広告をメインで取り扱っていました。広告をユーザーにクリックしてもらえても、その先のサイトが使いにくければ、売り上げは発生しません。その会社ではウェブサイトの領域は取り扱っていなかったので、サイトを改善することはできませんでした。
広告の領域だけでなく、もっと広く関わりたいと思いました。そのほうが面白そうだと考えていました。
2社目は、SNS、デジタル広告、ウェブ制作など幅広い領域をカバーしているウェブマーケのコンサル会社に転職をしました。最初は色々な仕事ができて、知識が増えていくのが楽しいと感じました。
でも業務範囲を広げると、自分で全てを担当することはできないので、専門的な仕事は誰かに任せる必要がありました。領域を広げれば広げるほど1つの分野から遠ざかって、専門的な知識を持っていない中途半端な人になってしまうと危機感を持ち始めました。
自分は幅広い領域を担当するのではなく、深く狭く仕事をして、何かのプロフェッショナルになりたいと思うようになりました。
自分が憧れていた仕事に就けたとしても、想定していなかった業務が多かったり、自分に合わなかったりして、働いてみないと好きになれるかは分らないということを学びました。
3. 自分に合う仕事を見つけることは簡単ではない
最初の仕事はくじ引きである。最初から適した仕事につく確率は高くない。しかも、得るべきところを知り、自分に向いた仕事に移れるようになるには数年を要する。
P・F・ドラッカー『非営利組織の経営』(ダイヤモンド社)
働いてみないと好きなことは見つからないのであれば、最初から自分に向いた仕事につくのは難しいですよね。
2度の転職を経験しましたが、今の仕事が自分の能力や価値観に完全に合っているかどうかは微妙です。自分に合う仕事は簡単には見つからないと思って、粘り強く色々なことを試していくことが重要だと思います。
4. 消去法で考える
自分はどういうふうに生きたいのか。(中略)
この設問は大げさなばかりではなくて、具体的な答えを出しにくいんだな。
あまりに範囲が広すぎるし、すべて自分の思いどおりに行くものじゃないということも承知しているしね。
自分はこういう生き方だけはしたくないない。
この方が、具体的な答えを、はるかに出しやすい。それでいくつかの答えを出して、消去されていくんだ。そうするとね、次第に範囲がせばまっていって、すこしずつ、軸になるべきものが見えてきたりする。
色川武大『うらおもて人生録』(新潮文庫)
働いている中で、すごく嫌なことやストレスを感じることがありますが、それは自分の大切にしている価値観が脅かされているからだと思います。すごく嫌なことを排除していくと、確実に自分に合った仕事に近づいていきます。
1社目は、残業が多く、すごく残業が嫌いでした。残業を排除するために転職をしました。
2社目は、同じチームの人の考えが理解できず苦しみました。私の意見もチームの人は理解できなかったみたいで、コミュニケーションの問題というよりかは価値観が違いすぎると思いました。もう少し自分と考えが似ている人がいる職場で働こうと思って仕事を変えました。
現在は、完全に自分に合っているかどうかは分かりませんが、一応続けられる仕事につけました。
5. 自分に近いところから探す
愚か者は、幸福がどこか遠いところにあると思い込んでいる。
賢い者は、幸福を足元で育てている。
ジェームズ・オッペンハイム(アメリカの詩人)
どこか遠くにある自分の天職を必死になって探すという戦略は、まずうまくいかない。
「今はまだめぐりあっていない天職にさえ出会えれば、”本当の人生”が始まる、それまでの人生は”仮の人生”である」という考え方は間違っている。
なぜならば、これまでの自分の人生の延長線上にしか自分はいないし、現在の人間関係の総和の中にしか自分はいないからだ。
自分の天職の種は、実は自分の足元にある。それに気づくこと、そして、その種をしっかり育てるという戦略のほうが上手くいく。
「ここではないどころかで、いつか始まるであろう物語」を夢見るのではなく、「今、ここで、一刻一秒、生身の自分が生きている物語」に目を向けよう。
戸田智弘 『働く理由』 7.仕事を辞めたい
自分に合った仕事を見つけたいと思っていました。でも、天職を探すという作戦は上手くいかないらしいです・・
6. 行動する&新しい人間関係をつくる
新しいことを始めて(さまざまなことを試み)、
いままでと違う人たちと交流をし(人間関係を変え)、
生まれたばかりの可能性というレンズを通じて
人生の物語を解釈しなおせば(深く理解し納得すれば)
実際にアイデンティティは変わっていく。
ハーミニア・イバーラ『ハーバード流キャリア・チェンジ術』(翔泳社)
「今の仕事は向いていないことが分かっているけど、他にやりたいこともない。天職を探しても上手くいかないらしいし、一体どうしたらいいんだ・・?」という方へ朗報です。
新しいことを始めて、人間関係を変えると、道が開けるようです。
とは言っても、新しいことを始めるのは腰が重いと思います。時間を無駄にしたくないし、興味を持てることもあまりないですよね。
そういうときは、YouTubeで動画検索するのがオススメです。興味がなくても、ぱっと頭に思い浮かんだ程度の職業やスキルを検索してみてください。例えば、YouTubeで”データサイエンティスト”と検索すると、”5分で分かるデータサイエンティスト”のような動画がたくさん出てきます。
または、大きい本屋さんに行って、本のタイトルを見ながら全ての通路を歩いてみてください。きっと自分の気になるジャンルが見つかります。立ち読みをして、ちょっとでも面白いと思ったら本を買ってみるといいと思います。
YouTubeで見た動画がきっかけで、ブログとプログラミング(Python)の勉強を始めました。勉強を始めたからといって、人生が大きく変わってはいませんが、何もやらずに悩んでいた時よりも気分が良いです。
ブログやプログラミングの勉強を始めて、新しい人間関係は作れていませんが、そのうち友達もできるような気がします。
7. 結局何のために働くのか?
若い人はよく「生き甲斐がない」と言います。しかしそれは当たり前です。
孤立した人には生き甲斐はない。生き甲斐は人間関係です。
石川達三 『暮しの手帖 40号』(暮しの手帖社)
会社を選ぶとき、生存欲求(賃金や待遇に対する欲求)だけでなく、関係欲求(上司や同僚、部下との関係を良好に保ちたい)や成長欲求(仕事を通じて成長したい)が満たされるかどうかについても注意を向けたほうがよい。
収入や待遇が会社によって大きく違うことはあまりない。しかし、関係欲求や成長欲求が満たされるかどうかは、会社や職場によって天と地ほどの差がある。
戸田智弘 『働く理由』 12.何のために働くのか?
正直、仕事での人間関係は面倒くさいし、できるだけ誰とも話さず一人で仕事をしたいと思っていました。今でも少しはそう思っています。
でも、誰とも関わらずに仕事をしてもやりがいは感じられないのかなと最近考えるようになりました。自分が行ったことによって、クライアントから継続して仕事がもらえたり、チームメンバーから感謝の言葉をもらえたり、他人へ貢献することが仕事のやりがいなのかなと思います。
まとめ
著書『働く理由』戸田智弘から、キャリア形成に役立つ”人生の先輩たち”の7つのアドバイスをご紹介いたしました。
1. こんな時に仕事は退屈になる – ドナルド・E・スーパー(心理学者)
2. 自分に合った仕事を探すときの落とし穴 – 三浦展(評論家)
3. 自分に合う仕事を見つけることは簡単ではない – P・F・ドラッカー(経営・経済学者)
4. 消去法で考える – 色川武大(作家)
5. 自分に近いところから探す – ジェームズ・オッペンハイム(詩人)
6. 行動する&新しい人間関係をつくる – ハーミニア・イバーラ(心理学者)
7. 結局何のために働くのか? – 石川達三(作家)
じっくり読みたい方はこちらからどうぞ。
今行動をしなかったら、また半年後も同じ悩みで苦んでいるかもしれません。仕事で悩んでいる方は是非読んでみてください。
たったひとりしかいない自分を、たった一度しかない人生を、本当に生かさなかったら、人間生まれてきたかいがないじゃないか。
山本有三『路傍の石』(新潮文庫)